トラブルを回避!資産相続と遺品整理の順番まとめ
大切な人が亡くなり葬儀や埋葬などに忙殺されているうちに、どんどん日が経ってしまい資産相続や遺品整理が後回しになってしまうこともあるでしょう。
人が亡くなった際の手続きは煩雑を極めますから、期限が決まっていないものほど後ろ倒しになってしまうもの。
しかしあまり長い間放置しておくと、損をしてしまったりトラブルの原因になったりと良いことがありません。
そこで今回は、トラブルを回避するための資産相続と遺品整理の順番をまとめました。
これから遺品整理に取り掛かる予定でしたら、ぜひ最後までお読みください。
遺品整理が遅れるとこんなデメリットが…
遺品整理は一概に早く行えば良いというものでもありません。
しかしあまりに後回しにしてしまうと、下記のような損をしてしまう可能性があります。
相続税額が変わる
相続税とは、遺産を相続する際にかかる税金です。
遺産の合計額と相続人の数などによって相続税額は変動しますので、納付した後に相続税額が変わってしまう恐れがあるのです。
相続税額が変わると相続税額の計算や再納付、追納する税額を誰が負担するかなど、細かな作業が増えてしまいます。
相続税納付という作業を一度で終わらせるなら、遺品整理は相続税額確定前に行う方が良いでしょう。
家賃の支払いが続く
個人が賃貸に1人暮らしだった場合などは、住む人がいないにもかかわらず家賃の支払いが継続してしまいます。
新しい借主を探せる状態になるまで、相続人が家賃負担をしなければなりません。
たとえば四十九日まで放置していた場合には、2ヶ月ぶんの家賃がかかってしまいます。
もし仮に個人が家賃6万円の賃貸物件に住んでおり、半年間遺品整理を行わなかった場合、
6万円×6ヶ月=36万円
36万円もの空家賃を支払う必要が出てくるのです。
特定空家に指定される
特定空家とは、空き家のうち、放置することが不適切な状態にある建物(その敷地を含む)を指します。
マイホームに1人暮らしであった場合などは要注意です。
特定空家に認定されてしまうと固定資産税が増加したり、50万円以下の過料(罰金のようなもの)が課せられる恐れがあります。
また瓦屋根が落下したり壁が崩れたりして他人にケガをさせてしまったら、治療費の負担も発生するでしょう。
ちなみに「空き家」の判定目安は「1年間利用されていないこと」です。
自宅などを1年以上放置しているなら、早めに遺品整理を行い処分先を検討しましょう。
相続よりも遺品整理が先!
形見分けや相続よりも、遺品整理を優先させましょう。
理由は大きく2点あります。
遺品整理には期限が決められていない
形見分けは親戚が一同に揃う際に行うのが一般的です。
また相続税には支払い期限が定められているため、資産相続も順序良く進めていかなければなりません。
しかし遺品整理には絶対に守らなければならない期限というものがありませんので、後回しにされがちなのです。
そのため期限が決まっている形見分けや相続よりも、早めに取り掛かることをオススメします。
遺品によっては相続税の金額が変わってしまう恐れがある
遺品は写真やアルバムのような思い出ばかりではありませんよね。
中には高価なブランドアイテムや宝石などが眠っているケースも。
一般的に下記のものが、相続税の対象となる「相続財産」とみなされます。
- 土地や家屋
- 株式
- 預貯金や現金
- 貴金属や宝石
- 骨董品
- 自動車
- 金銭貸借
たとえば、個人が生前身につけていたジュエリーを先に形見分けしてしまうと、そのジュエリーの価値に応じた相続税を追納しなければならなくなるのです。
相続税とは
相続税とは、亡くなった人の財産を相続した場合にかかる税金です。
亡くなった人の財産から、非課税のものや葬儀費用等を差し引いた金額に対して税金がかけられます。
ただし、基礎控除額といって、相続税がかからない範囲も決められています。
基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の数(2022年1月現在)
基礎控除額を超えた金額に対して、決められた税率で相続税額を計算します。
例1)遺産総額4,000万円で法定相続人の数2人
基礎控除額4,200万円>遺産総額4,000万円
相続税はかからない
例2)遺産総額4,000万円で法定相続人の数1人
基礎控除額3,600万円<遺産総額4,000万円
基礎控除額からはみ出た400万円に対して相続税がかかる
相続税の納付期限は「死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。
納付期限を過ぎると原則として延滞税や加算税が課せられることになります。
資産相続と遺品整理のおすすめ順序
具体的に遺産相続が発生した場合の、損をしないおすすめ順序をご紹介します。
トラブルを回避するために最も重要なことは、相続人全員の確認を取ってから遺品整理に取り掛かることです。
1.相続放棄をするか決める
まずは相続放棄をするか決定しましょう。
遺品整理をすると「相続する」と捉えられてしまうケースがありますので、相続放棄をするかどうか遺品整理を開始する前に決めておきます。
なお相続放棄を選択するなら、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3カ月以内に家庭裁判所に書類を提出する必要があります。
相続放棄をする場合は、実家の解体や売却はもちろん、遺品の片付けも行ってはいけません。
2.相続人を確定させる
遺産を相続する人を確定させましょう。
相続人が多くて把握できない場合は、税理士や行政書士、弁護士に調査してもらうこともできます。
資産相続も遺品整理も相続人全員の合意が必要ですから、葬儀などの親族が集まる席で確認しておきましょう。
3.四十九日を目安に遺品整理を開始
葬儀や埋葬を終えてひと段落した四十九日を目安に、遺品整理に取り掛かりましょう。
相続人全員の合意を得てから遺品整理を開始。
合意なく遺品整理をするとトラブルの元になります。
善意で作業したとしても相手に伝わらないこともありますから、きちんと事前に説明し必ず了承を取ってから片付けましょう。
4.遺言書がないか探す
遺品整理をしながら遺言書を探しましょう。
財産の割り振りなど書かれてあれば形見分けや相続に影響します。
遺言書を発見したら、その場で開封せず家庭裁判所に持ち込みましょう。
5.貴重品類をまとめる
現金、金融機関の通帳、株券、宝石類などの貴重品類をまとめましょう。
相続税の計算に必要ですし、相続するにもまとめておかなければ紛失などの被害に遭うかもしれません。
置き場所を決めて、リストアップしておきましょう。
6.その他の物品を整理する
その他のものは、捨てるものと売るもの、形見分けするものの3つに分けましょう。
捨てるものは、その地域のゴミの分別と回収日を調べて出してください。
売るものはかためて、遺品買取業者に連絡します。
7.買取店に遺品の査定と買取を依頼する
遺品のうち売るものについては、専門の買取業者に依頼します。
大概の業者が自宅まで査定&引き取りに来てくれるので、査定日時を予約しましょう。
骨董品やブランドアイテムはブランド買取専門店へ。
その他の専門的なアイテムは、各専門業者に依頼しましょう。
例)
大量の釣り道具→釣具買取
同人誌→同人誌買取
8.高価な品物は形見分けの前に税理士に相談
遺品整理の最中に見つかった品物のうち、高価そうなアイテムは形見分けする前に税理士に相談しましょう。
相続税計算の対象になる可能性があります。
9.相続税支払い
相続税額を確定し、国税局に相続税を支払います。
必ずしも税理士に計算を依頼する必要はありませんが、まとまった時間が取れないならプロに任せてしまうのも良いでしょう。
なお基礎控除額以内であれば申告と納税は不要です。
10.形見分け
相続税の納付終了後に形見分けを行います。
親族が揃ったときに形見として欲しいものをまとめておくとスムーズです。
遠方の親戚には郵送で届けましょう。
まとめ
資産相続と遺品整理は、多くの親族が関わりますし多額のお金が動くのでトラブルに発展しやすいもの。
これから遺品整理に取り掛かるのでしたら、ぜひこの記事を参考に無用なトラブルを回避なさってくださいね。