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VINTAGE
  • 2022年11月2日
  • 2022年10月14日

雅子さまの首元を彩る黒玉(ジェット)とは

2022年9月8日、英国エリザベス2世女王陛下が永眠されました。
在位70年、96歳での大往生。世界中から追悼の声が響いたことから、女王の器の大きさ、世界に与えた影響を思わずにはいられません。

日本との関係も濃密だったエリザベス女王。
2020年には天皇皇后両陛下が国賓として招待を受けたものの、感染症の世界的拡大で延期を余儀なくされていました。
そのような折に女王の崩御が伝えられ、両陛下は急遽渡英して国葬に参列することに。
おふたりのお衣装はまぎれもなく英国とエリザベス女王に敬意を表したものでした。
中でも注目すべきは雅子さまの首元を彩った漆黒のネックレスでしょう。
遠くからですと黒真珠のように見えますが、黒玉(ジェット)という宝石です。

エリザベス女王陛下の葬儀に雅子さまが身に付けたのは

雅子さまが国葬に参列される際に身につけたネックレスは黒玉(ジェット)という宝石でできていました。
すべてを吸い込むような深い黒が特徴的ですね。
エリザベス2世女王の高祖母にあたるビクトリア女王が、アルバート公を亡くした際に身につけた宝石として、イギリスでは「喪の宝石」として知られています。
日本の天皇も英国王室にならい、黒の礼服を着用する際は黒玉を身につけるようになったそうです。

黒玉(ジェット)とは

(引用 https://parts-kobo.com/item/jemstone/jt-cut-6.htm)

黒玉(ジェット)とは、数百万年という永い時を経て炭化した木の化石です。
長い年月をかけて圧縮され炭化し生成されます。
帯電する性質やその見た目から黒琥珀と呼ばれることも。

「木が炭化した化石なら木炭じゃないの?」という声も聞こえてきそうですね。
確かに黒玉は木の幹から成りますが、その性質はもはや石炭に近いもの。
ただし石炭と大きく異なるのは、樹木だった時の木目を残していることです。
そのままですと真っ黒で炭のようですが、磨くと独特の光沢を放ちます。

特徴

特徴的な黒の柔らかな光沢を放つ宝石です。
木独特の温かさは、他の宝石には出せないもの。
また軽くて扱いやすいことも人気の1

 

つです。
樹脂の化石である琥珀と共にジュエリーにするのもおすすめ。
木々の安らぎに身をゆだね、落ち着いた雰囲気を醸し出すことでしょう。

産出国

世界中で発見されていますが、商業的に成功しているのはイギリスとスペインです。
中でもイギリスのウイットビーの黒玉は、硬度も高く美しいことで有名です。

ウイットビー産の黒玉を「ハード・ジェット」
その他を「ソフト・ジェット」と区別するほど品質に違いがあります。

ちなみにウイットビーはすでに閉山されたため、現在ハードジェットを手に入れるためにはアンティークジェットを探す他ありません。
極めて品質が良いので、比較的安価なソフトジェットよりもはるかに高値で取引されています。

宝石言葉

黒玉の宝石言葉は「忘却」
悲しい別れを乗り越える、辛い過去を忘れる等の意味を持っています。

効果

古くから厄除けや魔除けとして利用されてきた黒玉。
パワーストーンとして、魔除け・お清め・悲しみを乗り越えるといった効果が期待できるそうです。
また、金運アップにも効果があると言われています。

こんな人・シーンにおすすめ

大切な人との別れ

ビクトリア女王や雅子さまのように、大切な人のお葬式にアクセサリーとして身につけましょう。
黒玉は深い悲しみを癒してくれます。
樹木が石化したものですから、日本のお葬式のマナーにも反しません。
大切な人との別離を乗り越え、新たな一歩を踏み出す勇気を受け取って。

自分の浄化

黒玉は浄化パワーを秘めていると言われています。
知らないうちに体内に溜まったマイナスのエネルギーを浄化し、世界を再び輝かせてくれますよ。
「なんだか最近ダルイな〜」とお悩みでしたら黒玉のパワーを利用してみては。

お守りに

古くからヨーロッパでは魔除けとして用いられてきました。
事故や病気といった厄災から身を守ってくれると伝えられています。
その他にも不安なことや暴力を遠ざけてくれるパワーが備わっているそうです。
火をつけると黒煙を上げるため、邪気払いにもなりますよ。

金運を高めるため

黒玉は金運を上げてくれるパワーストーンとしても知られています。
「宝くじが当たる」といった一攫千金タイプではなく、コツコツと小さく積み上げていくタイプの金運です。
小さな資本を大きく育てたいときに、ぜひ黒玉をお役立てください。

黒玉(ジェット)の価格

(引用 https://shop.butsueido.com/)

日本国内で黒玉を購入する場合、略式正装用のネックレスで1万円〜、数珠で2万円〜が相場です。
ブレスレット等に利用する場合は1粒100円〜販売されていることも。

黒玉はイギリスで喪の宝石(モーニングジュエリー)として普及した経緯から、正装用のアクセサリーとして重宝されています。
しかし日本国内での知名度は未だ低いため、普段から身につけていても特に目立つことはないでしょう。

黒玉(ジェット)のお手入れ方法

黒玉は樹木の化石ですから、火を近づけると燃えてしまいます。
ですから火や熱には十分ご注意ください。
キッチンに立つときは黒玉のアクセサリーを一旦外しましょう。
油断していると火が燃え移ってしまいます。

普段のお手入れは乾拭きでOK。
水に強い宝石ですから、素肌につけても劣化しにくく、水洗いもできます。
ただしそれほど硬くはありませんので、強く擦ると変形したり割れてしまったりする可能性もあります。
傷がつかないように、柔らかい布で丁寧に拭いてください。

保管する際は、他の宝石とぶつからないようにケースに収納するか、布で覆いましょう。
水洗いした後は、乾燥剤を入れずに陰干しします。
元々は「木」ですから、乾燥しすぎても割れてしまうためです。

フレンチジェットとは?

ジェットとは別に「フレンチジェット」という石も存在します。
フレンチジェットは「黒ガラス」のことで、黒玉とはまた別のもの。
ジェットに似ていることからイギリスでフレンチジェットと名付けられ、そのまま日本に輸入されたために紛らわしい事態になっているようです。

フランスでは黒ガラスのことをフレンチジェットとは呼ばずそのまま「黒ガラス」と呼んでいます。

黒玉(ジェット)を使った名映画

歴史に残る名作「風と共に去りぬ」をご存知でしょうか?
南北戦争時の恋愛模様を色濃く描いた作品で、今でも一部の映画館で上映されています。
男尊女卑が激しかった当時のアメリカで、女性の自立を強く訴えた作品として衝撃を与えました。

そんな激動の時代を生き抜いた主人公スカーレット・オハラが身につけていたのが黒玉です。
最初の夫チャールズ・ハミルトンが戦死した際に、喪服と共に着用されています。
南北戦争時代にはすでに「喪の宝石」として利用されていたことが分かりますね。
スカーレットの首元で輝く漆黒のネックレスに、一度目を止めて見てください。
シンプルで豪華さを感じさせず、確かに喪服にぴったりです。
しかし同時に美しいとも感じさせてくれるのですから不思議ですね。

アメリカ映画の金字塔とまで言われる作品です。
まだご覧になったことがなければ、一度視聴されてはいかがでしょうか?

まとめ

エリザベス女王陛下の国葬時に雅子さまが身につけていた宝石は黒玉と言います。
真珠と同じく有機宝石で、樹木の化石です。
イギリスでは古くから喪の宝石として取り扱われてきたため、日本でも正装用のアクセサリーに重用されます。
しかし近年では、その美しさ、温かみが再評価されつつあり、パリコレでも採用されるほどに。
ファッション性に富み、独特の輝きを有する宝石、黒玉。
ぜひ一度お手に取ってご覧ください。