深海よりも深く包み込む癒しの宝石サファイア
癒しのパワーストーンとしても有名なサファイア。
古来より気品と威厳を兼ね備えた高貴な宝石として、貴族や王族に愛されてきました。
ダイアナ元妃が婚約指輪に受け取り、現在は義理の娘であるキャサリン妃に受け継がれた指輪もサファイアです。
ロイヤルジュエリーとして頻繁に利用されるサファイアは、何物をも優しく包み込む包容力を感じさせてくれます。
今回は癒しの宝石サファイアについてまとめました。
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最も神に近い宝石
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名前の由来
サファイアの語源はラテン語の「青」を意味する「サフィロス」からきています。
古来よりサファイアは不滅と純潔を象徴する宝石として、霊的な側面に働きかけ、来世の神秘を意味すると言われてきました。
古代ペルシアでは、地球は巨大なサファイアに支えられており、青空はサファイアが反射して青いのだという伝説が残されています。
同時期に「神に最も近い石」とも記されており、当時の人々がサファイアを神聖な石として崇めてきたことが伺い知れますね。
一方、キリスト教社会でもサファイアは神聖な石として扱われていました。
カトリック教会では、サファイアを神の光の最高のシンボルと定め、司教や枢機卿に身につけるよう推奨していました。
この習慣は14世紀まで続き、イギリスの司教の叙階式では、サファイアの指輪が授けられていました。
深くすべてを包み込む海のような大らかで清らかな青は、発見当初から人々の心を鷲掴みにしたのでしょう。
東方見聞録でおなじみのマルコ・ポーロは、モンゴル皇帝フビライ・ハーンにブルーサファイアを献上しました。
皇帝はこのサファイアをいたく気に入り、市場価格の2倍の金額を支払ったと言います。
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石言葉
サファイアの石言葉は慈愛・誠実・真理。
澄み渡る青色は一途な愛を連想させることから、恋愛運アップのパワーストーンとしても利用されています。
パートナーとの絆を深める効果も期待できるので、婚約指輪のインナーストーンにも採用されるほど。
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特性
サファイアはダイヤモンドとルビーに次ぐ硬度を持つ宝石です。
そのため加工しやすく持ち運びにも便利なので世界中で利用されてきました。
一般的には青色が有名ですが、他にも無色や黄色、オレンジ、緑など多様なカラーバリエーションが揃っています。
サファイアだけでつくられた虹色のペンダントがあるほど、多くの色味が存在します。
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産地
サファイアの有名な産地はインドやビルマ、マダガスカル、スリランカです。
インド産のブルーサファイアが最も高い評価を得ていますが、今ではほとんど産出されていません。
最も広く親しまれているのはスリランカ産のサファイアです。
弱い光の下で美しく輝きを放ちます。
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ナポレオンの逸話
フランスの初代皇帝として名高いナポレオンには、下積み時代から密かに愛を寄せていた女性がいました。その女性の名はジョセフィーヌ。
ナポレオンの求婚を受け入れた彼女ではありましたが、浮気グセの強い女性で次々と愛人を作っていったそうです。
なんとか浮気をやめさせたかったナポレオンは、自分が所持していたサファイアを妻に譲りました。
当時サファイアは権力の象徴であり「皇帝にふさわしい石」として身につけていたものですが、同時に「貞淑」の象徴でもありました。
サファイアを受け取ったジョセフィーヌは一転して浮気をやめ、ナポレオンに尽くすようになります。
ところが今度はサファイアを手放したナポレオンの浮気が増し、ついにふたりは離婚することになったのでした。
ふたりしてサファイアを身につけていれば、破局は免れたのかもしれませんね。
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キャサリン妃の婚約指輪にも
誠実な愛情を象徴する清らかな青色は、ヨーロッパの貴族から長く愛されてきました。
最近では2011年にウィリアム王子と婚約したキャサリン妃の婚約指輪もサファイアですね。
婚約指輪というとダイヤモンドのイメージが強いものですが、ダイヤモンドを選ばなくてはいけないと決まっているわけではありません。
キャサリン妃の左薬指に輝く鮮やかなサファイアからは、王子からの不変の愛が感じられますね。
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世界的に有名なサファイア
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ロックフェラーサファイア
https://www.christies.com/en/lot/lot-2022213
巨大な長方形のステップカットが施されたサファイアで、ジョン・D・ロックフェラー・ジュニアが手にしたことでこの名がつきました。
ミャンマーで発掘されたこのサファイアは、62.02カラットもの大きさを誇ります。
透明度が高く、向こう側まで見通せそうな深い輝き。
見る人は吸い込まれてしまいそうです。
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スターリーナイトサファイア
ロックフェラーサファイアよりも大きなサファイア・スターリーナイトサファイアも忘れてはいけません。
丸いカボションカットのこの宝石はなんと111.96カラット。
しかも見事なまでに入った6条のスターが、宝石の美しさを極限まで引き上げているようです。
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世界最大のサファイア
現在世界で最も大きなサファイアは、スリランカの鉱山で発見された1404.49カラットのブルースターサファイアです。
2015年に宝石の街ラトナプーラで発見されました。
スターリーナイトサファイアと同様に6条のスターが入っており、うっとりとするような美しさを内包しています。
なお専門家によれば評価額は1億ドルを下らないとのことです。
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サファイアの選び方
サファイアは基本的に、青色が濃いほど良いものだと言われています。
ただし青色以外の色味も魅力的ですよ。
ピンクやオレンジ、グリーンなどの色味を帯びた個体はファンシーカラーサファイアと呼ばれています。青色ではなくとも、立派なサファイアなのです。
次に透明度も重要です。
インクルージョン(内包物)が多いと透明度が下がり、見た目の美しさに影響するだけでなく、耐久性を下げる一因にもなります。
ではインクルージョンが多い個体はやめるべきかというと、一概にそうも言い切れません。
たとえば、小さなインクルージョンが多量に含まれたカシミールサファイアは、インクルージョンが多量であるからこそビロードのような輝きを放つことができるもの。
サファイアはそれだけで価値の高い宝石ですから、まずは見た目で気に入ったものをお求めになるのが最適なのかもしれませんね。
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サファイアのお手入れ方法
サファイアはダイヤモンドとルビーに次いで硬い宝石と言われています。
ですからお手入れは比較的カンタン。
けれども硬いが故に他の宝石と一緒にすると、サファイア以外の宝石が傷ついてしまう可能性があるのです。
収納は専用ケースか仕切りのあるジュエリーケースを利用しましょう。
また汚れると輝きが衰えてしまいますので、ジュエリーを外すごとに柔らかい布で拭いてあげてください。
丁寧に扱えば、いつまでも光り輝くサファイアでいてくれますよ。
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まとめ
深い青色で全世界を魅了し続けているサファイア。
高潔で上品な輝きは今もなお私たちの心を掴んで離しません。
婚約指輪にも使われるように、愛情の証としても非常に優秀です。
愛する人への特別な指輪には、サファイアをはめこんではいかがでしょうか?