金(ゴールドバー)は税金の対象!相続や贈与時の計算方法など

金(ゴールドバー)を購入する大きな理由は、財産の形成ですよね。
使いきれなければ子や孫に相続や生前贈与することになるでしょう。
ここで問題なのが、金の相続や贈与には税金がかかることです。
今、相続したら、贈与したら、一体いくら税金がかかるのでしょうか。
今回は金(ゴールドバー)にかかる税金について解説いたします。
金(ゴールドバー)の相続や贈与には税金がかかります!

金(ゴールドバー)の相続にも贈与にも、税金がかかります。
そのため、金の価値の全額を子や孫に譲ることは難しいかもしれません。
しかし、計算によっては税金を払わずに済むこともありますので、ぜひ本記事で確認してみてください。
相続と贈与の違い
相続とは、亡くなった際に持っていた財産を相続人に分配することです。
対して贈与とは、生きているうちに指名した人に対して、財産の一部を譲ることです。
他人に財産を譲る行為という意味ではどちらも変わりありません。
譲るタイミングが亡くなった時か生きているうちかで変わります。
なお「生前贈与」と言われることがありますが、これは贈与のことです。
財産を譲るタイミングが分かりやすいことから、このように呼ばれているようです。
どちらの税額が大きいのか
一般的に、同じ財産に対する税額は、贈与税の方が大きくなります。
ただし、年間110万円までなら贈与税は課税されませんので、コツコツと小さく贈与を繰り返すことで納める税金を抑えることもできるでしょう。
また、相続税にも基礎控除額という範囲が設定されており、この範囲内であれば相続税はかかりません。
そのため、絶対にこちらの方が安くなるとは断言できかねます。
本記事で基礎知識を吸収してから、自力で計算するか税理士に相談しましょう。
相続時の税金の計算方法

基礎控除額
まず、相続税のかからない基礎控除額について知っておきましょう。
2025年10月現在における基礎控除額は、以下のとおりです。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
たとえば、相続財産が金(ゴールドバー)のみで、その金額が3,000万円以下だった場合、法定相続人が1人であっても相続税はかかりません。
また、相続財産が合計6,000万円だった場合でも、法定相続人が5人以上いれば、基礎控除の範囲に収まるので相続税はかかりません。
法定相続人
法定相続人とは、民法で定められた範囲の相続人のことです。
順位が定められており、順位の高い人がいる場合、それより低い順位の人は法定相続人にはなれません(配偶者は常に法定相続人)。
そして、たとえ相続人として指名していても、下記に当てはまらなければ法定相続人としてのカウントはできません。
| 常に法定相続人 | 配偶者(妻や夫) |
| 第1順位 | 子ども、その代襲相続人(直系卑属) |
| 第2順位 | 親、祖父母(直系尊属) |
| 第3順位 | 兄弟姉妹、その代襲相続人(傍系血族) |
たとえば、配偶者と子が2人、両親、兄弟姉妹が3人存命の状態で亡くなった場合、法定相続人は配偶者と子2人のみです。
子なし家庭で配偶者と兄弟姉妹3人のみ存命だった場合、配偶者と兄弟姉妹3人の合計4人が法定相続人になります。
相続税率
相続税は、法定相続分に応じた取得金額によって決まります。
つまり、遺産を相続する人ごとに税率が変動し、その合算が相続税合計額になるのです。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除率 |
| 1,000万円以下 | 10% | なし |
| 1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
たとえば、基礎控除額を差し引いた後の財産が1億円で、法定相続人が配偶者と子1人だった場合を計算します。
この場合、法定相続分は、配偶者1/2、子1/2になります。
1億円×1/2=5,000万円
配偶者と子の法定相続分に応ずる取得金額は5,000万円ずつとなり、
5,000万円×20%-200万円=800万円
2人分で1,600万円
相続税額は合計で1,600万円になります。
金(ゴールドバー)以外の相続財産
金の他にも価値のある財産はほとんど相続財産としてカウントされます。
預貯金や株式など
現預金や有価証券、土地や家屋などです。
みなし相続財産
生命保険金や死亡退職金などです。
しかし生命保険金と死亡退職金に関しては、相続税の基礎控除とは別に、(500万円×法定相続人の数)までが非課税として扱われます。
相続時精算課税制度を使用して贈与した財産
相続時精算課税制度により贈与された財産も、相続財産としてカウントされます。
7年以内に贈与された財産
亡くなってから7年前まで遡って贈与された財産は、相続税の対象となります。
相続財産とならない財産
お墓や葬儀費用などは、相続財産から差し引いて計算できます。
たとえば、亡くなった人の預貯金を使って100万円の葬儀を執り行った場合、その100万円は相続財産と相殺されます。
また仏壇や仏具などは、相続財産から外されます。
贈与時の税金の計算方法

贈与税は、誰から誰への贈与かで税額が変動します。
今回は、親から子、祖父から孫への贈与を想定しています。
贈与する財産から基礎控除額110万円を差し引き、下記の表に当てはめて計算します。
| 基礎控除後の課税価格 | 200万円 以下 |
400万円 以下 |
600万円 以下 |
1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 4,500万円以下 | 4,500万円超 |
| 税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
| 控除額 | なし | 10万円 | 30万円 | 900万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
仏具にしたら課税されないってホント?

仏具や仏壇は相続財産になりません。そこで、金(ゴールドバー)を加工して仏像にし、税金逃れを図る事例が昔はありました。
残念ながら現在では仏像などに加工しても課税されるケースが多いようです。
申告しなかったら見つかるの?

相続税や贈与税を申告しなかったとしても、ほとんどが見つかってしまうでしょう。
申告しなかったことについて税務署から指摘を受けると、本来の額以上の税金を納めなければなりません。
正直に申告することが、最も節税できる方法なのです。
入出金履歴を確認されるから
金を売却した金額が200万円を超えると、買取業者は支払調書という書類を税務署に提出することになっています。
つまり、ある程度高額な取引については、履歴が筒抜けになっているということです。
なお支払調書には、住所、指名、マイナンバー、売買金額や重量などが記載されます。
シリアルナンバーがついているから
ゴールドバーにシリアルナンバーがついているのはご存知でしょうか。
これは盗難防止などのために、購入者情報に紐づけられています。
そのため売買すると履歴が残り、税務署が照会するとすぐに取引がばれてしまうのです。
まとめ

金(ゴールドバー)を相続したり贈与したりする場合、税金を納めることになるかもしれません。
少額であれば無税の範囲で譲り渡すこともできるかもしれませんが、金の価格が高騰している現在で、基礎控除内に収まるのは、ほんの少量である場合のみ。
贈与を検討しているなら、金の価格が下がってからにした方が良さそうです。
なお、今回紹介しました税率などは、2025年10月現在の数値です。
計算する際は国税庁サイトなどで最新情報を確認してください。
