ものいうガラス エミール・ガレ
ガレの作品には図案と共に詩文の入った「ものいうガラス」と呼ばれるシリーズがあります。
このデザインは1860年代から、イソップの教訓やことわざ、格言などを記しています。
造形を文学的に読ませる趣向は、1880年代後半にガレが深く傾倒した像微主義
の理念のも適ったもので、最初のうちは好意的に受け止められました。
しかし1890年代には賛否両論がとなえられるようになります。
ガレのガラスはそれ自体が十分すぎるほど詩的かつ饒舌だから
作者が自分の考えを声高に説明したり、名文の助けによって理解される必要など無い。
など様々な批判が唱えられます。
それは詩を物真似のように使うことで、ガレの芸術が低俗化するのではないか
との危惧からの声でありました。
高まる批判に対して、ガレもついに抗弁せざる得なくなります。
ガレは「私の流儀が嘲弄されようとなかろうと、ほかの人たちがなんと言おうとも
私は私の方法を実践し続けます。信仰と思想にもとづいて
聖堂を築き上げた中世の建築家たちのように、
花瓶に書き入れた文字によって、それを所有する人々と
心を疎通させる方法を守り続ける所存です。」
このように主張し、ガレは自分の流儀を貫こうとしました。
当時は賛否両論ありましたが、現在ではこの「ものいうガラス」
シリーズは高額で取引されている品物になります。
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ダンシャリ 矢野