意外に知られていないゴールドラッシュの歴史
現在、金の価格が高騰しています。
10月の中頃からはグラムあたりの買取価格が1万円を超える店舗も出始めました。
若干の浮き沈みはあるものの、5年前より2倍以上の値段で取引されています。
資産としても手堅い投資商品としても優秀な金ですが、昔は一攫千金の大チャンスが転がっていました。
今回は、多くの人に夢を与えたゴールドラッシュについて紹介いたします。
ゴールドラッシュの歴史
ゴールドラッシュとは、金脈を探す採掘者が一部の地域に殺到する現象を指します。
金脈を見事掘り当てた人もいれば、採掘者相手に商売をして上手に儲けた人もいるようです。
今回は最も有名なカリフォルニア・ゴールドラッシュと共に、日本のゴールドラッシュも紹介いたします。
カリフォルニア・ゴールドラッシュ
カリフォルニア・ゴールドラッシュは、1848年に1人の大工が雇われていた農場の敷地内で金を発見したことから始まりました。
金が見つかったという報せはたちまち広がり、約30万人もの人々がカリフォルニアに集ったのです。国内・国外を問わず人が集まり、大規模な都市が形成されました。
金脈を探し当てて一攫千金を実現した人もいれば、初期投資すら稼げずに諦める人もいたようです。
アメリカンドリームを与えてくれた金でしたが、無尽蔵ではありません。10年ほどで掘り尽くされ、ゴールドラッシュは泡のように消えたのです。
日本のゴールドラッシュ
ゴールドラッシュは世界の至る所で起こっており、日本もその例外ではありません。
新潟県佐渡島に存在した佐渡鉱山では、400年近く金を採掘していました。
当時20軒にも満たなかった寒村が5万人を超える町に発展したのは、佐渡鉱山のおかげと言って差し支えないでしょう。
1989年には創業休止となりましたが、現在は人気の観光スポットとして生まれ変わっています。
また北海道で起きたオホーツク・ゴールドラッシュも有名です。
1898年に、枝幸地方で日本最大級の金塊が発見されました。噂はたちまち広がり、最盛期には約5,000人が採掘に訪れたそうです。
しかしおよそ4年でゴールドラッシュは終わり、ほとんどの人は何も手にできぬまま故郷に帰っていきました。
ゴールドラッシュで大金持ちになった人・翻弄された人
ゴールドラッシュは誰にでも平等にお金持ちになるチャンスを与えてくれました。
そのためゴールドラッシュで急激に人生が変わった人もいたのです。
金発見で人生が激変したジェームズ・マーシャル
働いていた農場の敷地内で金を発見した人物です。
彼は作業中に金を発見し、数日悩んだ末に農場のオーナーに報告しました。
それがゴールドラッシュの引き金になるなど、この時は思いもよらなかったでしょう。
彼は世間から「金鉱脈を発見できる人だ!」と祭り上げられ、記者や牧場主などに雇われました。あまり成果は芳しくなったのですが、金脈があると指定した場所に1年後、大鉱脈が発見されました。それが今のネバダ州です。
その後カリフォルニアから年金が支払われるようになり、死後には銅像が建てられました。マーシャルの銅像は今もコロマの丘でカリフォルニアの地を見下ろしています。
敷地内で金が見つかり破滅したジョン・サッター
発見者のジェームズ・マーシャルから報告を受けたのが農場主のジョン・サッターでした。
スイスで生まれた彼は破産してしまい、妻子を捨ててカリフォルニアに渡ります。
カリフォルニアでは大芝居を打ち、その結果メキシコ知事から広大な土地を下賜され、大金持ちになりました。
大農場を経営して成功したサッターでしたが、敷地から金が発見されたことで人生が大きく歪んでしまいます。
金発見の報告と共に多くの人たちが農場内を荒らし、破壊していきました。
敷地内で発見された金の所有権は認められず、またサッターの「奢りぐせ」も相まって、借金で首が回らなくなるほどに。
晩年は議会に対して陳情を続け、1880年議事堂の階段で心臓麻痺のためにこの世を去りました。
サッターの名は今も「サッター郡」として残っています。
日本への帰国費用のために坑夫になったジョン万次郎
本名は中浜万次郎。
14歳のある日漁に出て遭難し、アメリカの捕鯨船によって救出されました。
救出はされたものの、当時の日本は鎖国状態で外国籍の船は容易に近づけません。
そこで万次郎は、アメリカに足を踏み入れることとなったのです。
万次郎は船長の養子となり、一通りの教育を受けました。勉強家だったようで、学校では主席になったそうです。
成人してから日本帰国を心に決めた万次郎は、ゴールドラッシュで湧き立つカリフォルニアに到着。得られた金で資金を作り、日本に向けて出立します。なんとか帰国した万次郎は、藩や幕府から2年もの尋問を受けた後でようやく故郷に帰ることができました。
その後ペリー来航により激動の時代に突入していた日本で、教授・通訳・造船指揮などで活躍し、その名を後世に残すこととなりました。
もしもカリフォルニア・ゴールドラッシュが起こっていなかったら、万次郎の帰国はもっと遅れていたでしょう。
アップルパイで大儲けした花嫁
ゴールドラッシュで多くの人々がカリフォルニアに集いましたが、そのほとんどは男性でした。当時、女性はほんの一握りで、非常に珍しい存在だったのです。
1850年マリポーザという街に最初の花嫁が到着した時、坑夫たちが一斉に仕事の手を休めてアーチを作り大歓迎しました。
スピーチを求められた花嫁は「アップルパイなら誰にも負けない」と言い、坑夫たちは「あんたの作ったアップルパイなら毎日5ドルで買うよ!」と応じました。
その花嫁は自信作のアップルパイを毎日作って販売し、坑夫として働く旦那よりも稼いだそうです。
知っておきたい金の話
出典:https://www.levi.jp/men/pants/jeans/straight/501%20%E3%82%B8%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%82%BA%20%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%83%E3%83%89%20rain%20forest/005013429.html#prefn1=disableDoubleExposure&prefv1=1&start=1
金についての豆知識を紹介いたします。
周辺知識があれば、より金が身近に感じられるでしょう。
金属アレルギーになりにくい
金は非常に安定した金属なので、金属アレルギーになりにくいと言われています。
金属アレルギーとは、汗や唾液で金属が溶け出した金属イオンを、体が異物と判断して免疫反応が起こる現象です。
金属イオンになりやすい、つまり不安定な金属ほど金属アレルギーを引き起こしやすく、安定した金属ほどアレルギーになりにくいのです。
直接肌につけるアクセサリーなどに利用されるのは、美しさだけにでなく金属アレルギーを起こしにくいためでもあるのです。
時代や地域を問わず価格が安定している
金は世界中どこでも売買できる商品です。
地域によらず価格はほぼ一定ですし、上がり下がりはあるものの比較的安定的な商品と言われています。
そのため資産の一部を金に換えておき、貨幣価値の変動にも耐えうる資産構成とする人も少なくありません。
リーバイスの原点はゴールドラッシュ
ゴールドラッシュ最大の勝者とも言われているのがジーンズメーカーのリーバイスです。
リーバイスの創始者リーバイ・ストラウスは、坑夫としてではなく商人としてカリフォルニアにやってきました。
そこで坑夫から綿密な聞き取り調査を行い「破れにくくてカッコいいワークパンツ」が求められていることに気がつきました。
そうして誕生したのがリーバイス501です。
テントや船の帆に使われていた丈夫なキャンパス生地で作ったリーバイス501は大流行しました。
ゴールドラッシュが終わった後もファッションとして受けれられたリーバイス501は、今もなお大人気のジーンズ。
金ではなくジーンズで栄光を掴みました。
まとめ
ゴールドラッシュは世界各地で起こり、そして終わりを迎えています。
その度に一攫千金の夢を求めて人々が集まり、成功や絶望だけでなく、後世に残る集落や技術を残していったのです。
悲喜交々を生み出してきた恐ろしくも美しい金。賢く利用して、あなただけの成功を掴み取ってください。